調理や給湯、暖房など、家庭で使うエネルギーを電気に統一する「オール電化住宅」には様々なメリットやデメリットがあります。
たとえば、キッチンのコンロをIHにした場合、火を使わないことやお手入れがしやすいなどのメリットがありますが、デメリットにはどのようなものがあるでしょうか。
筆者も子育て真っ最中だからこそわかる、子育て世帯ならではの視点を交えながら、お子様のいるご家族・子育て世帯がオール電化住宅を検討するポイントについて、それぞれのメリット・デメリットをご紹介いたします。
目次
オール電化住宅とは?
オール電化住宅とは、ガスや電気など使用エネルギーが分かれていた設備や家電を電気製品に1本化した住宅のことをいいます。
具体的には、ガスコンロはIHクッキングヒーター、ガス給湯器はエコキュートなどのように、キッチン家電・冷暖房設備・給湯設備などのガスを使用した住宅設備や家電を、電気を使用した住宅設備や家電にすることで、主たるエネルギーを電気だけでまかなう住宅のことです。
電気以外のエネルギーを使う家電と電気を使う家電の一覧はこちら
| 調理器具 | 電気以外を使う家電 | 電気家電・電気設備 |
|---|---|---|
| コンロ | ・ガスコンロ(都市ガス・プロパンガス) | ・IHクッキングヒーター |
| 調理機器 | ・ガスオーブン | ・電気オーブン ・電子レンジ ・電気オーブンレンジ |
| 給湯器 | ・ガス給湯器(エコジョーズ等) ・石油給湯器(灯油ボイラー) |
・エコキュート(ヒートポンプ式電気給湯器) ・電気温水器 |
| 冷暖房 | ・エアコン(ガスヒートポンプエアコン、GHP) ・ガスファンヒーター/ストーブ ・石油(灯油)ストーブ/ファンヒーター ・ガス温水式床暖房 |
・エアコン(電気式) ・電気ヒーター ・電気ストーブ ・床暖房(電気式) |
| 洗濯乾燥 | ・ガス衣類乾燥機 | ・電気式乾燥機 ・ドラム式洗濯乾燥機 |
補助制度が設けられオール電化住宅を後押し
オール電化住宅は、2000年代前半に省エネ性能の高い電気給湯機「エコキュート」が登場したことや、電力会社による時間帯別の料金プランが提供されたことなどを背景に、徐々に普及してきました。
また、エコキュートや太陽光発電システムの導入に対して、国や自治体による補助制度が設けられたことも、普及を後押ししました。
子育て世帯がオール電化住宅を考えるポイントは4つ
●子育て世帯の4つの検討ポイント
オール電化住宅にはメリット・デメリットがそれぞれあります。子育て世帯がオール電化住宅を検討する際のポイントは、①安全性や使い勝手・②費用面・③ライフスタイル・④停電・災害への備えの4つのポイントを考えておくことが大切です。
今回は、この4つのポイントを軸に、子育て世帯がオール電化住宅を検討する際に知っておきたいメリット・デメリットや注意点についてご紹介いたします。
安全性と使い勝手のメリット・デメリット
安全性と使い勝手のメリット
火を使わないキッチン
オール電化で使用するIHクッキングヒーターは直火を使わず、電気磁気を利用して発熱させます。
そのため、ガスコンロであったような火が燃え移るといった火災事故や、換気が不十分な際におこる一酸化炭素中毒事故などのリスクは低くなります。
直火を使わないため、IHクッキングヒーターは、適切な使い方をおこなっていれば安全性は高いとされています。そのため、小さいお子様がいる家庭にとっては大きな安心材料になるといえます。
IHクッキングヒーターの注意点
油の過熱発火による火災リスク、IH非対応の鍋などの使用、加熱部分に金属を放置しての使用などで自然発火・異常発火するリスクがあるため注意が必要です
キッチンの掃除がとてもラク
IHクッキングヒーターの天板はガラストップでフラットなため、簡単な汚れであればサッと水拭きするだけで汚れを落とすことができます。
また、頑固な油汚れや焦げ付き汚れも、天板がフラットなためガスコンロより楽に掃除することが出来ます。
また、IHクッキングヒーターは、ガスコンロと違って炎や燃焼ガスによる上昇気流が発生しないため、揚げ物時の油が飛び散りにくいともいわれています。
お手入れのしやすさは、子育てや家事で忙しい家庭には大きなメリットと言えるでしょう。
調理で室温があがりにくい
IHクッキングヒーターとガスコンロでは熱効率が大きく異なります。IHクッキングヒーターが約90%※1の熱効率で鍋を直接温めるのに対し、ガスコンロは直火で鍋から離れているため、熱効率は50%代※2にとどまっており、熱が周囲に逃げやすい構造になっています。
また、ガスコンロは直火が鍋の外側も包み込み周囲の温度を温めることで上昇気流が発生し、鍋周辺はもちろん天井付近の空気まで温めてしまい、室温上昇に影響してしまいます。
一方IHクッキングヒーターは周囲に熱が逃げにくいため、快適な温度を保ちやすく、夏場でもキッチンが暑くなりにくい特徴があります。
※1 出典 パナソニック:【ビルトインIH】IHの熱効率を教えてください。より
※2 出典 「省エネ性能カタログ電子版」2026年3月1日 省エネ性能カタログ電子版 アーカイブのガスこんろより
安全性と使い勝手のデメリット・注意点
炎が出ない調理でも加熱・空だきに注意
IHクッキングヒーターは直火が出ませんが、熱効率が高いため加熱速度が速く、油の加熱や空だきは発火温度に数分で達してしまうため注意が必要です。
基本的に消し忘れ防止機能や過熱を防ぐ温度センサー(Siセンサー)がついていますが、それでも調理には十分注意が必要です。
余熱の残る天板での火傷に注意
IHクッキングヒーターは、使用直後の天板(トッププレート)は使用した鍋やフライパンの熱が残っており、非常に高温になっています。
しかし見た目に変化はないため、加熱をオフにした直後に触ったり、拭き掃除などをおこなうと火傷を負う可能性があります。
高温注意のランプをチェックしたり、鍋をすぐに移動させないなど、触らないようにする工夫が大切です。
使用できる調理器具に制限がある
IHクッキングヒーターは磁力によって天板(トッププレート)の加熱部に置いた鍋の底そのものを直接発熱させる仕組み上、使用できる鍋の底の形状や鍋の材質に制限があります。
たとえば、底の形状が丸い中華鍋は密着部分が少ないため使えません。素材はアルミニウムや銅などの金属素材※3の他、従来の土鍋※4なども多くのIHクッキングヒーターで使用できません。
※3 アルミニウム製や銅製が使用可能なIHクッキングヒーター(オールメタル対応)もあります
※4 IH対応のSGマーク付きの土鍋は使用可能です
費用面のメリット・デメリット
費用面のメリット
光熱費を電気に一本化、ガス料金の基本料金は0円
オール電化住宅では光熱費を電気に一本化することができるため、ガスの契約をする必要がなくなります。
結果としてガスの基本料金を0円にすることが出来ます。特にLPガスを使っている場合、オール電化住宅に切り替えると費用面のメリットが大きくなります。
給湯の光熱費を抑えやすい
エコキュート(給湯器)は電気だけでなく、ヒートポンプユニットによって空気の熱を取り込んでお湯を沸かすため、少ない電力で効率的にお湯を沸かすことが出来ます。また、単価の安くなる夜間にお湯を沸かしておくことで光熱費を安く抑えられます。
太陽光発電などの自家発電と相性が良い
オール電化住宅は、太陽光発電などの自家発電設備と組み合わせることで、発電した電気を家庭内で有効活用できます。
たとえば、昼間に太陽光発電で発電した電気をエコキュートの沸き上げなどに利用することで、電力会社から購入する電力量を減らし、電気料金の削減につなげることができます。
補助金が活用できる場合がある
省エネ住宅の普及・推進がおこなわれており、オール電化住宅に対しての補助金制度は現在ありませんが、省エネリフォームやエコキュートなどの利用(給湯省エネ事業など)に対しての国や自治体の補助金を利用できる場合があります。
登録を受けた事業者による申請が必要な場合があるなど、補助金によって申請方法は異なりますので事前にご確認ください。
費用面のデメリット
導入時の初期費用が高い
オール電化住宅では、IHクッキングヒーターやエコキュートなどの設備を導入する必要があります。機器の本体価格に加えて、設置工事費も必要です。
特に既存住宅をオール電化に変更する場合は、分電盤の交換や200V回路の増設、配線工事などの追加工事が必要になる場合があります。
昼間の電気料金が割高かつ電気料金の値上げは影響大
オール電化向けの電気料金プランには、夜間の単価を安くし昼間の単価割高に設定した時間帯別料金プランがあります。そのため、昼間に電気を多く使用するご家庭では、電気料金が高くなってしまう可能性があります。
また、住まいの光熱費を電気料金に一本化しているため、電気料金の単価が値上げされると家計への影響も大きくなります。
設備のメンテナンスや交換費用が必要
オール電化で使用するエコキュートやIHクッキングヒーターなどの設備にも寿命があり、定期的なメンテナンスや、故障・経年劣化による交換が必要になります。
特にエコキュートは10~15年程度が交換の目安とされており、交換する場合には、本体代や工事費などで数十万円程度の費用がかかる場合があります。
停電すると使えない機器が多い
オール電化住宅でもし停電がおきた場合、エコキュートやIHクッキングヒーター、エアコンなどの電気冷暖房機器などが基本的に使用できなくなります。
しかし、災害時の復旧はガスや水道に比べて早い傾向にあり、火災などの二次災害リスクも軽減されることから、オール電化住宅は災害に強いといわれています。
子育て世帯のオール電化住宅メリット・デメリットのまとめ
子育て世帯メリットのまとめ
子育て世帯のオール電化住宅にするメリットを簡単にご紹介いたします
設備・費用編
- 光熱費を電気料金に一本化するため管理しやすく、ガスの基本料金の支払いもない
- 導入時に国や自治体の補助金を利用できるケースがある
キッチン編
- IHクッキングヒーターは火を使わないので、お子さまのいる家庭でも安心
- IHクッキングヒーターの天板は凹凸がなくフラットなため、お掃除が簡単
- 調理で部屋の空気をあたためないため、家族のいるリビングも快適な温度を保ちやすい
お風呂・給湯編
- エコキュートのタンクにお湯をためておけるので子供と一緒の入浴でもたっぷり使える
- 夜間にエコキュートで湯を沸かしたり家族の洗濯機を夜にすることで光熱費を抑えることが出来る
災害時編
- 断水時、エコキュートの機種によってはタンクのお湯や水を利用することが出来る
- 災害時、電気の復旧は比較的早く、火災のリスクも軽減されるため、災害に強いといわれている
子育て世帯デメリットのまとめ
子育て世帯のオール電化住宅にするデメリットや注意点を簡単にご紹介いたします
設備・費用編
- 導入時の初期費用(機器本体+工事費)が高くなる
- 機器は定期的に故障や寿命がくるため子供の進学などによる出費と重ならないよう資金計画が重要
キッチン編
- コンロの使用直後は触ると火傷するほど余熱で高温になるが、見た目ではわかりにくい
- お子さまが直火のガスコンロによる本物の火を扱う機会が少なくなる
お風呂・給湯編
- 家族が続けて入浴するなどお湯を大量に使うと湯切れしてしまい、追加の沸き増しが必要になる
災害時編
- 停電時にエコキュートやIHクッキングヒーターなど多くの設備が使えなくなるため、その間は粉ミルクや離乳食の温めが出来なくなる
ポイント
オール電化住宅場合、カセットコンロを1台備えておくだけで、もしもの時に非常に役立ちます。
まとめ
子育て住宅の方がオール電化住宅を選択することで得られるメリットもたくさんある一方、導入コストなどの懸念点もあることが分かったかと思います。
実際には、電化住宅にしたい住宅は新築住宅なのか中古住宅をオールなのか。その住宅はマンションなのか一戸建てなのかなどによって異なってきます。また、導入する設備などによっても金額や機能はことなります。
また、オール電化住宅を中古で購入する方法もあります。
もしオール電化住宅にご興味が御座いましたら、お近くの福屋不動産販売または福屋工務店までお気軽にご相談ください。















